浮いた擁壁。現場作業員の安全も考える設計。

河川の増水による崩壊

 前線の活発な活動により、九州の広範囲で大雨となりました。佐賀県でも記録的大雨が続き大雨特別警報がでるほどの豪雨で、小城市の河川は増水によって護岸が複数個所で崩壊しました。

擁壁の浮きは復旧作業員も危険

この業務の被災箇所で共通していたのが、擁壁が部分的に崩壊していること、また下から砂が吸い出され空洞化し擁壁が浮いた状態になっていることでした。浮いた擁壁は表からは問題なさそうに見えますが、崩壊の可能性をはらんでおり、復旧工事の際に現場作業員が事故に合う危険もあるため設計には特に注意が必要です。

擁壁の高さに応じた安定計算

今回復旧工法として、擁壁の直高(川底に入れる基礎部分からの一番上までの高さ)が5mを超える箇所には大型ブロック積み擁壁として構造計算を行い、直高5m以下の箇所にはブロック積み擁壁を計画して計算しました。

急がば回れ

令和元年、各地で被害をもたらした豪雨ですが、やはり河川のダメージが大きいです。圧倒的な水の力に護岸がなすすべなく壊されてしまっています。早急な復旧が必要ですが、復旧を急ぐがために、現場作業員の安全性を失念してしまうと悲惨な事故につながる恐れがあります。

復旧の設計は、施工後の安定安全はもちろん必要ですが、復旧工事に携わる作業員の安全も考えて設計を行うことが重要です。